drive for garden(ドライブ フォー ガーデン)河野悌己さん

HOMEREPORTINTERVIEW>KOUNO YOSHIKI

  1. 【はじめに】2008.5.12更新
  2. 【その1・まずは素面で話したこと】2008.5.22更新
  3. 【その2・アシスタント時代に学んだこと】2008.6.6更新
  4. 【その3・よしきのナゾについて】2008.6.12更新

【はじめに】

よしきにインタビューをしたのは10月のことです。
(うわっ、どんだけ寝かせたんじゃ・・・ごめんなさい)
drive for gardenが始動に向けて本格的に動き出したころでした。
サロンでの1時間半くらいのインタビューが終わったあと、
よしきから連絡がきて、
「なんか、自分が思っていたこと、うまくしゃべれなかったんですよねー。
なので、もう一回、インタビューしてもらえませんか?
できれば、お酒の飲める店で」って言われた。

そうそう、私自身も、なんだかもやもやしていた。
というのも、よしきって、よくわかんないんだよね。

前にも書いたけど

まず、モデルの評判がありえないくらいよい
まず、スタッフからの評判がありえんくらいよい
まず、メーカーさんからの評判がありえんくらいよい
まず、編集・ライターからの評判がありえんくらいよい
まず、アシスタントからの評判がありえんくらいよい
まず、美容師仲間からの評判がありえんくらいよい
まず、売上がありえんくらいよい
まず、その出世がありえんくらいはやい

でも、その理由がよくわかんない。
決して派手なタイプじゃないのよ。
オーラばりばりタイプでもない。

だけど、お酒を呑みながら、よしきと話をしていて
あ、なんかちょっと
みんながよしきを絶賛する理由が
ちょっとだけだけどわかったような気もした。

それから半年。
(繰り返しますが、すみません。こんなに寝かせて)

実はこの半年間、私はずっとGARDENさんのヘアカタログを
作らせてもらっていました。
その中で、やはりよしきと語ることも多く
雑誌の中でインタビューもさせてもらった。
この半年間で、銀座のdrive for gardenがオープンし、
よしきはそこの代表として今働いている。

だけど、この激動の半年間にも関わらず
多分、よしきはあんまり変わっていないように感じた。
それは(私がいうことじゃないけど)成長してないってことでは
もちろんなくって
よしきは、なんか、「よしき道」みたいなものを
結構がんこに歩いていて
だから、周りの環境が変わろうと、なにしようと
きっと、この人は、あっちいったりこっちいったり
ふらふらしない人なんだなーと、
なんか、そういう感じがしたんだよね。

インタビューとは関係ないけれど
私とよしきは結構マジでテニスをやっていたので、
体育会関係者にありがちな
「テニスに例えるなら」というイメージ会話ができたりする。

一度、こんな文章をブログで書いたことがある。
そしたら、よしきに次の日言われた。
あれ、僕に書いてくれたのかと思いましたって。

「もうこれ以上は絶対にムリだと思ってからの1分間の練習が
一番大事な勝負のポイントで、粘れるかどうかの差になる。
テニスは、
相手よりも1本だけ多く、
ボールを相手コートに返せれば勝てるスポーツ。
たった1本多いだけでいい。
すごくシンプル。
でも、たぶん、本質だ。
その1本を相手コートに返せるようになるために
今日もあとちょっとだけ
つべこべいわずに手を動かそうと、思う」

この文章を書く私もかなり暗いが、
この文章に共鳴するよしきもかなり暗い。

GARDENの、というか、よしきの口癖は
「辛いときほどのぼり坂」だ。
いまどき、はやらないくらい、ストイックな人だなーと思う。
その愚直な感じが、きっと
誰もがよしきを信用する理由なんだろうと思う。

では、そんな感じではじまります。

(ちゃんと終われるんだろうか。
なにせ、話しすぎたので、ちょい不安。)

【その1・まずは素面で話したこと】

注意・このインタビューは2007年10月に行われました(すみません。半年も前の話で)

河野
おはようございますー。
今日はよろしくお願いします。
あ、サンドリヨンの雑誌、ありがとうございました。
もう3??4人いらっしゃいましたよ

増田
おお!
それはよかった。写真いいよね、あの雑誌。
って、自画自賛だけど(笑)。
どうぞ、お客さんがいらしたら、よろしくお願いします。
可愛くしてあげてください。

んで、今日はやっぱ、これだよね。
ガーデンの銀座店の話。
千菜(注・秋葉千菜さん)といくんだって? 
なんで銀座だったの?

河野
そうですねー
うちのサロンって、世界一というのを目標に掲げていて
今、日本で表参道以外で世界に通用するという場所と考えると
銀座かな、と。

増田
2店目の話が出るまでがはやかったよね。
GARDENのオープンって去年の8月だから、
まだ1年強でしょ。

河野
そうですね。
一番大きな理由としては、
ノーリスクな状態を打破するため、でしょうか。
上がどんどん前に進んでいる以上、
自分たちもやっぱりリスクをとってちゃんと前に進まなくちゃ。
今の場所で安定していることは簡単だけど
それじゃ停滞しちゃうと思うんですよね。

増田
パートナーが千菜だったのは?

河野
千菜さんとは、もともとデビューも近かったりして、
触発しあいながらやってきたんです。
20代??30代頭のメンバーで、
デザイナーとしてちゃんと形を作れる
サロンをしっかりまかせる、
プロデューサーとしてできる
そういうサロンを作りたいね、というのがありました。

僕、「10代のころにあこがれていたことは?」って聞かれると
カリスマになりたい、
そういうヘアメイクになりたいという気持だけだったんです。
で、20代、30代、となったときに
そういう夢がなくなって、落ち着いてくるのは嫌だったんですよね。
20代、とにかくがむしゃらにやってきましたけれど、
それを30代になっても40代になっても続けていきたい。
あのころはバカみたいにやってたよねって
胸張って言えるようにしたいね、と。

この4月で僕、美容師10年目になりますけれど
ひとつの節目だったりするので
そこでお店を出させてもらうという転機に恵まれて
本当にありがたいことだと思っています。
ただ、
ステージが用意されているかどうかって考えるだけじゃなくて
自分自身がステージを用意できるかどうかということも
これからは考えていかなきゃいけないな、と。

増田
独立っていう道を選ばずに、
あくまで「GARDEN」でいく理由っていうのは何だったの?

河野
須崎、森内、加藤の想いに共感できるってことです。
「あなたたちが言っていることは本当ですよね?」
っていうことを確かめたいし、確かめさせたい。
例えば美容業界に対する考えとか、これからのビジョンとか
「それだけの気持ちで、本当にやっているんですよね?」という部分に
心から共感しているし
同時に、その問いかけを常に下から発していく
突き上げていくのが僕の役目かな、と思うんです。

増田
今回、銀座ができることで、
よしき個人としてはさ、
より、経営者サイドに近い考えでのぞむのかな?

河野
いち美容師とやるのがメインです。
経営の部分にちょっとずつ関わっていくことももちろん必要ですけれど。
neutralからはじまってもう5年ですよね。
その間ずっと3人のトップがやってきているので
革新的なこと、抜本的に変わっていくことというのは
今のままでは難しいのかなと。
だから、銀座にサロンができることによって
そういうのを新しく変えていくのが大事だと思っています。

増田
以前と考え方が変わったりしたことはある?

河野
教育の部分では、最近すごく変わりましたね。

僕は24時間でも切っていたいタイプなんですよ。
もうそれって変態扱いされるくらい(笑)。
ずっと切っていたいんですよね。
1日30人弱、カットしていると思います。
でも、下の子は、1日3人でも悩んでいる子は悩んでいるんですよ。
今までは、自分が40人切れるようになりたかった。
でも、今は、1日に20人スタッフみんながちゃんと切れる、
そういうものが本当の教育なんじゃないかと。
そう思うようになったんです。
前はそう思えなかったんですよね。
「切りたいんだったらお前も頑張れよ、努力しろよ」と思っていたんですよ。
僕はまだプラス10人切りたいんだけど
でも、自分がそうすることよりも
下の子がプラス10人切れるようになるほうに
エネルギーを注いでいく。
そうすることで、見えるステージが変わるかなと思っているんです。
そこが一番変わってきたことでしょうか。

増田
よしき自身はスタイリストになって何年だっけ?

河野
10月でスタイリスト5年です。
でも、スピード的にはまばたき3回くらいでしたね(笑)。
上にあがれば責任もついてくるし
本当にあっという間でした。

どっちかというと上にあがればあがるほど
アウトプットが中心になってくるじゃないですか。
だけど、インプットできる部分をもっと増やしていきたい。
許容量を決めないで、どんどん吸収していきたい。
「今日はいいや」とか、「今日はダメだ」とか
そのラインって、本人の脳みその裏側にあるような部分だと思うんです。
そのリミッターが制限できないような状態にしていきたいんですよね。
限界を決めるべきじゃない。
可能性や夢って、勢いがある若いうちしか貫けないと思うんです。
20代の最後で、そのパワーを一番発揮しないとって、
今、すごく強く思っていますね。
いい意味で、正々堂々真っ向勝負でいきたいですし。

増田
うーん、うまく言えないけれど
いい意味で、今のよしきってすっごいアンバランスだなーと思う。
いろんなことを並行して考えている状態なんだろうね。
困ったときって誰に相談するの?

河野
芋焼酎……?
芋焼酎に相談します(笑)
っていうのは冗談ですけれど。

普段の会話中で、困ったことって解決できるんですよね。
千菜さんと話したり、西山さんと話したり。
佐久間さんと話したり。

増田
他のサロンの美容師さんにも
可愛がってもらっているよね。

河野
お酒が共通項なので(笑)
いろんな美容師さんと
日常茶飯事的に呑みにいかせてもらって
いい関係をいただいています。
年齢的にも相談しやすいんですよね。
たいてい一番下なので。
「これってどうなんですかね?」って言ったら、
素直にこたえてもらえる。
その部分は得してるな??と思います。

増田
今までつまずいたことはないの?

河野
小石にはよくつまずいてますよ。
思い出したら、あれ、つまずいていたかな、って思います。
当時って、そうだったなーと思ったり。

例えば、4人いれば、ABCDというタイプになる。
DがAになることはないじゃないですか。
でも昔は絶対に頑張ればできるはず、
DもAになれるはずって思っていたんですよ。
だけどいろんなタイプがいるのは事実で、
交わることがないこともあって
全ての考えを統一しようとしたら共存できないんですよね。
だから、できるだけお互い受け入れられる部分を受け入れて
ちゃんと大きくならないなーと思うようになったんです。
一人ひとりのよい部分を伸ばせる集団にしていかないと。

増田
サロンが大きくなることって、難しい部分も多いと思うのね。
例えば、創業者のDNAが伝わりにくくなるとか。

河野
そういう危機感は感じています。
だからこそ、銀座ではそこを強く考えていかないと、と思っています。
ちゃんと自分たちの言葉が伝わる距離で、人数で。
来年25人入るんですよ。
今年の新卒も全員辞めてないですし
大きなサロンは動物園です(笑)
いろんな子がいる。
だけど、それぞれのいいところを伸ばしながら
マニュアルは作らずに
気持ちは一緒でいられるように……。
難しいですね(笑)

増田
よしきってさ、こんなに売れっ子なのに
すごく謙虚だよね。

河野
常にまだまだですからって思っているんです。
これね、リアルに思っているんです。
もう5年たつんで、長くいらしてくださるお客様も多いんですが
年間5??6回、今までに30回くらい来た方にも
「前回大丈夫でしたか?」って聞いちゃう。
毎回いいものを、って強く思います。

増田
よしきって、最終的にはどうしたいの?

河野
いろんな可能性も見たいですね。
安定する自分も見たい気がする(笑)
でも、次、銀座に行ってみて
はじめて見えるのかなというのが本音です。

増田
いろんな人がよしきに
いろんなこと言うと思うんだけど。

河野
たいがいのことはぐっと飲み込んで
自分のものにしようと思います。
それでもおかしいと思ったら、
いい状態に持っていけるように話します。

増田
いっつもメモとってるよね。

河野
酔っ払っているときもメモとってます(笑)
こういうこと言ってたな??って、あとから見返したりします。
ネタ帳みたいなものです。
キーワードだけ走り書きしたりなので
あとで読んでもわかないのもあるけど(笑)

増田
そういう、常に吸収しようという感じが
きっと今のよしきになっているんだろうねー。

【その2・アシスタント時代に学んだこと】

注意・このインタビューは、前回のインタビューの後、「ちょっとうまく話せなかったので」という
よしきからのリクエストで、日を改め呑み屋にて再度行われました。

増田
前回は話たりなかった?

河野
すみません。
呑まずにゆみさんとああいう形で語ったことがなかったんで……
やっぱ、朝は緊張するんですね……

増田
えー、でも、それこそ
いろんなインタビューってうけてるでしょ?

河野
うーん、でもゆみさんには
デビューのときから、
っていうか、アシスタントのときもお世話になっているので
微妙に言いにくいことも多かったり……(笑)

増田
そっか、そっか。
ごめん、私が威圧感与えてるのか?(笑)
あ、でも、前からしょっちゅう言ってるけど
私とよしきって、ほんと相性悪いよね

河野
いやいや(笑)言われるたびに
悲しいですけれど(笑)

でも、ゆみさんとの仕事って
普段考えないことを考えちゃうんですよね。
デザインを作ってないところ
他の部分を読まれちゃってるような気がして。

増田
いや、別にそんなこともないんだけどねー。
というか、そっかぁ。
私、よしきのこと、アシスタント時代から知ってるんだねー。
なにげに長いつきあいなんだー。
森内さんについてたんだよね。

河野
そうです、そうです。
Rayで今井りかちゃんとかさせてもらっていたときですね。。
でも、ゆみさんとは要所要所でご一緒させてもらっているので。

今度また、GARDEN BOOKやらせていただくじゃないですか。
(注・その後2008年5月20日に発売になった「GARDENの最旬ヘアカタログ」)
で、その撮影が始まる前にスタイリストの勉強会をやろうと思ったんです。
前回ホームぺージ用のスタイルを一緒にやらせてもらったとき
ゆみさんに「どれも一緒」「幅がないよね」って言われましたよね。
みんな、ど真ん中を作れるんだけど
ど真ん中しか作れないサロンになっちゃいけないな、と。
作り方とか見せ方をを考えていかないと。

増田
うーん。いつも生意気言ってごめん。
間違いなく全員可愛いスタイルを作れることはわかってるんだけどね。
でも、ひとつのサロンで1冊作るときは、
さらに求められる部分があるからねー。

河野
うちのサロンも、もう一回イチから再構築していかないと。
上にあがっていくサロンって、スターを輩出させていくじゃないですか。
全員がうまくなっていくことはもちろん大事なんですけれど
それと同時に、引っ張りあげるプレイヤーが出ていくサロンになっていかないと。
GARDEN BOOKが終わったときに、みんなの気持ちが
「自分がこのサロンを引っ張ってやる」みたいな
意識に変わってないと、って思います。

増田
あ、そうそう私、
どこかでGARDENのスタイリストさんに
セミナーやりたいな。

河野
あ。是非。
雑誌の撮影、キックオフする前に、
是非お願いします!

増田
よしき自身はどう思ってるの?
これから自分自身、どうなっていきたい、とか
サロンをどう変えていきたいとかっていう部分は?

河野
僕がやりたいのは古い話ですけれど
千代の富士と貴乃花みたいなことなんです。
千代の富士が引退を決意した一番ってあったじゃないですか。
若手の勢いと王道みたいなものがぶつかったときに
「じゃあ、これからはお前にまかせるよ」という一番。
あの瞬間をイメージしているんです。

僕たちが今やっていることに対して、
今の巨匠が20代のころやっていたことと同じ気持ちでありたいと思うんです。
「じゃあ、これからはお前にまかせるよ」って言われたい。
もちろん昔もそうですけれど、黙っていてもお客さんがくる時代じゃない。
巨匠たちが20代、30代にやっていたこと以上のことを
やりたいし、やっていかなきゃいけないと思うんです。

増田
サロンのリーダーとしても頑張らなきゃいけないし、
でもやっぱりプレイヤーとしても頑張らないといけなよね。

河野
プレイヤー、やる気満々ですよ!
もちろん、リーダーとしても、ですけれど……。

前もちょっと話しましたけれど、
10代の時、めちゃめちゃたくさん切りたかったんですよ。
それは今でもそう思っていて、
その目標をまっとうしたくてやってこれた自分がいるんですよね。

10代で考えたことをやりぬいてきたから
今の20代があるんだと思うんです。
全力でいきたかった。
20代でお店を出したかったという目標があったし。
有名店でたくさん切ったその先に何があるのか、ということを
いつも考えていました。

いい車を持って、いい時計をしてっていうことが
いわゆる成功だっていうのは
今の時代、もう違う気がするんですよ。
僕にとって、今のタイミングでやりたいというのが
いい車に乗ったり、いい時計をすることではなくて
新しい世代の人間が、
「もっともっと」とか「さらにさらに」って思える環境の中で
やりたい人間とお店を出すってことなんだと思います。

増田
アシスタント時代に
気をつけていたことってある?

河野
僕がアシスタントだったとき、
30人くらいスタイリストがいたんですよ。
で、そのうちトップ10の人の仕事をたくさん見て
なにが違うのか、どう違うのか
もちろん、みんな個性があるんですけれど
でも、そのトップ10が全員やっていること
共通項を必死で探したんです。
絶対に方程式があるな、と思ったから。

すっごく小さなところからですよ。
全員カウンセリングがはやいのが共通点だ、とか。
あとは、そういう売れている人ほど
撮影もセミナーもめちゃくちゃ忙しくやっていても
アシスタントが前向きにやっているとか。
朝までアシスタントとつきあっちゃうとか。
そういう売れている人に共通していることを見つけたら
実際にノートに書き出していましたね。

増田
お! 出た! ノート(笑)!
アシスタント時代からやってたんだねー。

河野
そうなんですよ(笑)
それで、「お客さんに慕われる要素ってなんだろう」
「先輩についていきたいって思う要素ってなんだろう」って
いつも考えていました。

増田
おお!
で、その要素って?

河野
おそらくものすっごく普通のことだと思います。
お客さんに対してはとにかく待たせない。
仮に待たせても、ちょっと待っててね、という声をかけるとか。
デザインに関しては
常に新いデザインを作ろうとするかどうかとか。
本気かどうかです。全て……。

アシスタントとの関係でいうと
これも本当に当たり前のことなんですが
コミュニケーションを大事にするってことです。
忙しいから終礼に出れないとか、そういうことではなくて
「やってもらっている」、「やらされている」ではなく
「まかせる」、「まかせてもらっている」っていうような
関係性になっているか、いなかということではないかと思っています。

自分と毎日向き合ってくれるのはアシスタントじゃないですか。
カラー、パーマ、トリートメントって
お客さんが2時間くらいつきあうのはアシスタントなんですよね。
お互いにかわりにはなれない部分もありますが、
想いはしっかり伝えて組んでもらいたいんです。

特にメインアシスタントは大事にしています。
自分のアシスタントが辞めるということは自分の力量不足だと。
幸いにもまだないけれど、
自分の声と想いが届かなくなったり
アシスタントの夢とか目標に対してこたえられなくなったら終わりだなぁと
それはいつも感じています。

【その3・よしきのナゾについて】

増田
今回のインタビューのミッションのひとつが
「よしきはなんでそんなに売れるのか?」という
ナゾをとくということなんだけど(笑)

河野
いや、僕もわからないです……。
なんでお客さんがきてくれているのかというのは
客観的に見れない部分がありますよね。
逆に、今日はそのヒントをもらいにきたんです。

増田
えー、わかんない(笑)。
よしきってなんで売れるんだろ……。

河野
僕もわかんないです……(笑)。

増田
「僕の成功の法則」という本をシリーズで出したとしたら
よしき担当のライターは難しいだろうなー(笑)
人から褒められることある?

河野
うーん。あまり褒められないかも。

強いて言えば
お客さんとの距離感について、だと思うんですけれど。
近くなっても歩み寄っても
次きたときにまた適度な距離感があるという感じ。
近づくんだけど、馴れ馴れしくはしないというか……。
そこは褒められるときがあります。

でもいま振り返ってみても、
デビューして1年目の僕に
300万円に技術があったとは思えないんですよね。
だから、技術の高さで
1年目の僕をお客さんが支持してくれたわけじゃないと思うんです。

増田
あのね、この間、西山さん(GARDENディレクター)と話をしたんだけど
「ゆみさん、なんでよしきが売れているのか
その秘密がわからないってブログで書いてましたけど
私にはわかりますよ。一緒に過ごしているとわかるんですよ」って言ってたよ。

河野
本当ですか?

増田
うん。
あのね、西山さんが、よしきと同じ店舗で働きはじめたとき
よしきの仕事ぶりを見て気づいたことを自分に取り入れるだけで、
西山さん自身の売り上げがすごくあがったって言ってたのね。
で、それはよしきのどういう部分がすごかったかというと
とても単純なんだけど、来店してからお返しするまで
全員に120%のパワーでお客さんに向き合っているというのが
ひしひし伝わってきたって言ってた。
「もうとにかく全身全霊で真剣なんですよ」って。

河野
そう言ってもらえるのは本当に嬉しいですね。

増田
なんかよしきって、スターっぽくないよね。
ちゃらちゃらしてない(笑)
あ、いい意味で、だよ!

いきなり私たちの共通言語で話しちゃうけど
テニスやってるときはどんなタイプだった?

河野
ベースライン型ですかね。
レシーバーでしたね。

増田
ははは。私ももろにそっちです。
派手なプレーするタイプじゃなくて
地味なんだけど、負けにくいタイプだったと思う。
よしきもそうだろうなって思ったよ。
「テニスは相手よりも一本だけ多く返せばポイントになる競技」って
前にブログに書いたとき、
よしき、すごい反応してたもんね(笑)

河野
あれ、しびれましたもん
あれって僕に言ってくれてるんじゃないかって思ったくらい。

増田
そうそう。
超かっこいいプレーで1本とっても
長いラリーの末に相手のミスで1本とっても、
それは同じ1ポイント。

河野
そうなんですよね。
僕は、やっぱり、その1本を
かっこよくなくてもいいからしつこくねばってとりたいタイプ。

増田
テニスの話で引っ張るけど
一度勝ち方がわかると、負ける気がしないことってない?
勝ちグセってあるよね?

河野
勝つ方程式ですよね。
わかります。
そういうの、つかめる瞬間ってあると思います。
仕事で言うと、僕はまだまだこれからの部分も多いですが
成功に対してわかっている人って
絶対成功していると思うんですよね。

この時、このタイミングで、この一言、この技術。

それができなかった時はお客さんがこなくなるというのが
なんとなくわかる時があるんですよ。

増田
うん。なんか、ちょっとずつ
よしきの強みがわかってきたかも……。

河野
あ、あともうひとつ。
僕、前髪カットだけのメニューでのご来店が、
きっと青山界隈でもすごく多いと思うんですよ。
前髪カットは自信あります。
今度銀座にお店が出たら、
銀座や丸の内で働いている方
時間がたりなくてサロンになかなか行けない人のためにも
前髪カットは今まで以上に頑張りたいですね。
前髪カットは単価が安いと言われますけれど、
僕、それは全然いいんです。
目標は、前髪カットで20人とりたい!

増田
前髪カットって、やっぱり人生変わるからね。

河野
そうなんですよ。
メイクみたいに重要部分ですから……。

これ、ゆみさんに報告しなきゃいけないと思っていたことなんですけど
今季で一番感動した話。

増田
お! なになに?

河野
以前ゆみさんとやらせてもらったヘアカタの誌面を見た
女の子がサロンに来てくれたんですけれど
その後、地元の秋田に帰っちゃったんですよね。
でも、その後また来てくれて。
それも前髪カットだけで来てくれたんですよ。
「お金ないから10時間かけて夜行できました」って言ってくれて。
前髪切り終わった時
「今日はこれからどうするの?」て聞いたら
「今日はもう帰ります」って。
本当に、前髪を切りにだけにきてくれたんですよ。
往復20時間かけてここまで来てくれたというのに本当に感動して……。
もう、「それ、いつの雑誌だったっけ?」というくらい昔の切抜きを
握りしめてきてくれて……。

増田
いやー。それは、本当に嬉しいことだよね。
私もそういう話を聞くと、この仕事やっていてよかったって思うもん。
そういうお客さんを大事にしてくれる美容師さんと
これからも付き合っていきたいって思うし。

河野
やっぱりゆみさんとやらせてもらった「Ray」のページを見て
来てくださったお客さんがいるんですけど
もう、長く通ってくれていて何回も来てくださっているのに
毎回最後に「巻いてもらっていいですか?」って
遠慮がちに聞くんですよね。
もう毎回僕は、「もちろんです!」って言って
彼女の髪を、それこそ作品を作るような気持ちで巻くんですよ。

増田
ああ、そういうの、本当に嬉しい。
よしきは、本当にお客さんを大事にしてくれるよね。

河野
ディレクターとよく話すんです。
お金じゃないって言っちゃうと
なんか、かっこつけているみたいですけれど
やっぱり、お客さんが喜んでくださる
大好きなスタッフと一緒に働ける。
それが一番のやりがいなんです。
だから、そこにまっすぐでいたいな、と

増田
今回は、2度にわたって
素面バージョンと飲み会バージョンと(笑)
忙しいところありがとう。

河野
いえいえ、こちらこそです。

増田
また、銀座が走り出したころ
話を聞かせてください。

河野
そうですね!
ぜひよろしくお願いします。

(完)